第9露 「歯周病治療が成功すると見た目が悪くなる!?の裏」
若いときに歯を失う最大の原因は虫歯ですが、40代を過ぎてから歯を失う最大の原因は歯周病です。
実は、歯周病の治療が成功すると見た目が悪くなることがあるって知ってましたか?
歯周病は、歯を支えている骨(歯槽骨)が溶ける病気です。
この歯槽骨が溶けると、その分だけ歯ぐきが下がってしまいます。
しかし、歯周病の場合にはほぼ確実に歯ぐきが炎症を起こして腫れています。そのため、本当は歯ぐきが下がっているのに、歯ぐきが腫れているせいで見た目上は歯ぐきが下がっているようには見えないということがよくあるのです!
歯周病の治療を行って治療が成功すると、歯ぐきの炎症はなくなり、歯ぐきが引き締まります。
すると歯ぐきが下がったり、歯と歯の間に隙間(ブラックトライアングルと言います)が出来たりしてしまいます。
歯周病の進行は抑えられるのですが、見た目は悪くなってしまうわけです。
歯周病治療の目的は、基本的には無くなってしまった骨を回復させることではなく、歯周病をこれ以上進行させないということです。
一応今の最先端治療では、他の部分から骨を採ってきてそれを骨が溶けてしまったところに移植する「自家骨移植」や人工骨の移植、エムドゲインなどの骨を増やすと言われている薬剤を使った治療なども行われてはいますが、全ての症例で十分な結果を得ることはまだ難しいという段階ですし、期間は年単位、治療費もン十万円〜ン百万円単位でかかってきます。
「歯周病治療が成功して骨が回復した!」と言っても5mmも6mmも回復するわけではなく、せいぜい1〜2mm骨が回復すれば大成功!といったレベルです。重度の歯周病で7mm〜8mm骨が失われてしまったようなケースでは、もう見た目を元通りの健康な状態にするということはほぼ不可能です。
また、歯周病治療が成功すると見た目が悪くなることがあるというのは歯医者さん的には当たり前のことなので、患者さんに事前に説明をしないで治療を行うことがあります。すると患者さんは突然歯ぐきが下がってしまったので医療ミスだと思い、その歯医者さんを訴えてしまったという事例もあります。(この場合には医療ミスではありませんが、歯医者さん側の「説明責任」が問われることがあります)
説明責任に関する訴訟は訴訟全体の約5%を占めていますが、実際に患者側の訴えが認められた(説明義務違反が認められた)のは56件中12件(判例雑誌『判例時報』の1号〜1781号までに掲載の民事医療過誤判例より)と、なかなか説明義務違反訴訟で歯医者さんに勝つのは難しいようです。
とは言え、歯医者さんも、
「文句があるならかかってこいや!!」
というような態度ではなく、患者さんの立場に立ってきちんと説明をするべきだと思うのですが・・・。
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