第8露 「正義の不正請求!?の裏」
「不正請求」
ほとんどの人は不正請求=悪いことだと思っていると思います。
当然不正請求そのものは悪いことなのですが、中には患者さんのためになる不正請求もあるのです!
歯科の不正請求で最も多いのは、「やってもいない治療の代金を請求する」というものです。
(最も代表的なのは、歯の歯石取り(スケーリング)をやっていないのにやったことにするというもの)
なぜこの不正請求が患者さんのためになることがあるのかというと、その答えは保険制度にあります。
保険を使えば安い費用で治療を受けることが出来ますが、保険では使える材料や治療法が決められてしまっています。例えば、保険治療だけでは十分な治療が出来なかったり、「これじゃ治療にならんやろ」というようなことも多々あります。しかし、患者さんは経済的に余裕が無く保険治療を受けるのが精一杯・・・。こんな時どうすれば良いのでしょうか?
歯医者さんも自分やスタッフの生活がかかっているわけですから赤字で治療をするわけにはいきませんし、かといって患者さんのためにならないと分かっている治療をしてしまうのも医療人としてどうかと思います。
そんな時は、やってもいない治療の代金を保険で請求して、その分を保険外の治療費の埋め合わせにするというようなことを行う場合があります。そうすれば患者さんはよい治療を安く受けられ、歯医者さんは利益を確保できます。
ただし、これは立派な不正請求です!
もしこれがばれた場合には歯医者さんは利益を返還しなければなりませんし、保険が一切使えなくなる場合もあります。もちろん、信用も失うでしょう。
では、この歯医者さんは悪い歯医者さんなのでしょうか?
リスクを負ってまで患者さんに良い治療をしようとした歯医者さんと、患者さんのためにならないと分かっていて保険で治療をした歯医者さん、あなたならどちらの歯医者さんに診てもらいたいですか?
こんな裏事情があるので、不正請求に関しては歯科業界では一種の暗黙の了解のようなものがあります。
しかし、最近では治療費の詳細を全て請求書に記載して患者さんに渡す歯科医院が増え、患者さんもそのような歯科医院を好む傾向があります。
また、2006年10月からは法律で、歯科医院に領収書の発行が義務付けられます。このシステムの中では、上記のような「正義の不正請求」は行われないでしょう。
不正請求はこれからどんどん減っていくと私は思っていますが、そうなると良い治療を受けるためには必ず高額の治療費がかかり、経済的に余裕のない人は良い治療が受けられないということになります。
これはある意味当然のことだとは思いますが、少し寂しいものがあります・・・。
とりあえず今私に出来ることは、「こうすれば虫歯になりにくんだよ〜」とか「歯科治療にはこんなにお金がかかるんだよ〜」というようなことを多くの人に知ってもらい、治療を受けずに済む人が少しでも増えることを願うだけです。
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